2014年5月16日金曜日

ウエサク祭と天道花

 

万緑、青嵐、甘露の雨。あらゆるものが輝くまぶしい季節です。

昨日は卯月(旧暦4月)の満月。インドをはじめスリランカやタイ、マレーシアなど多くの仏教国で釈迦の誕生、悟道、涅槃を祝う灌仏会の様子が、ウエーサーカ祭(Vesak Day)としてニュースなどでも話題になっていました。

日本でウエーサーカ祭というと、京都鞍馬寺の五月満月祭(うえさくさい)が有名かもしれません。5月満月の宵に清水を捧げて満月の力をいただきつつ、鞍馬寺の本尊とされる尊天に、すべての命が目覚めるようにと祈ります。

Wisteria

 

仏教が伝来する以前、日本には天道花(てんとうばな)という風習が近畿や中国四国地方の各地にあったそうです。天道花とは、長い竿の先に山躑躅や山藤、卯の花などの「山の花」を飾ったもので、農作業が始まる重要な月である卯月の田植え前に、豊穣を祈ったのです。「山の花」は山の神が宿る依り代。花を介して神と交わることができると考えられていたのですね。

京都大宮には天道神社があります。豊穣と子孫繁栄を祈願するために鎮座されたお社で、平安遷都以前には長岡京にあったそうです。毎年今頃には「天道花神事」が催されているのですが、これは桃山時代に狩野永徳が描いた「上杉本 洛中洛外図屏風」でもみることができるそうです。

その後天道花の風習は、仏教行事の灌仏会と習合して「花祭」になりました。

 

いずれにしてもこの活き活きとした季節、甘茶をいただくのもよし、山の美しい花々から生命力を分けてもらうのもよし。麗しい雨の中をお散歩するのにもってこいです。


[参考記事]
 ◎京都市産業観光局観光MICE推進室「京都観光Navi」

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