2014年3月18日火曜日

梅の園 @京都 梅宮大社

京都のお気に入りの一つ、梅宮大社へ行きました。

その名の通り、梅の名所です。

 

梅宮大社の梅20140310

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるでおとぎ話の風景の中にいるようで、自分の他に誰もいないと不安になってしまうほどです。

 

梅は、奈良時代に中国から渡来したそうです。当時は舶来趣味の対象で、高級官僚や貴族たちが中国の詩の知識を背景に愛好、珍重しました。知的で高雅な梅の花は、万葉集に数多く詠まれています。

ひさかたの月夜を清み梅の花心開けてわが思へる君

紀少鹿女郎

万葉集の梅はほとんどすべて「白梅」を指し、平安時代でも紅色の梅花の場合には「紅梅」と断るのが通常だったそうです。白い花は月の光と重ねて詠まれ、その清らかな印象が一層増します。

 

雪の色を奪ひて咲ける梅の花今盛りなり見む人もがも

大伴旅人

白い花はまた、漢詩の趣向に学んで「雪中の梅」として詠まれてもいます。 古来、雪は豊饒のしるし。この一首は雪から梅へと吉兆を託しつつ、迎える春に何か良いことが起こる期待を感じているかのようです。

 

梅は、花が見えなくても香りによって存在が知れるとして、「闇夜の梅」も好んで詠まれました。「月明かりに梅」も素敵ですが、「闇夜の梅」にも惹かれるものがあります。

ことばの音、風物の色、香り、それらから連想される何か・・心体の全部で味わう直感的な魅力は、知識も時空も超えて万葉人と私たちの間で共有しているのではないでしょうか。

 

ところで、梅宮大社のお庭は松も素晴らしいです。

梅宮大社の松20140310

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真の奥に見えるのは、酒造と交通の神様・松尾大社がある、松尾の山です。

梅宮大社HP

 

[参考書]

「紀州本万葉集 巻第5」後藤安報恩会 *近代デジタルライブラリーで閲覧可能

「紀州本万葉集 巻第8」後藤安報恩会 *近代デジタルライブラリーで閲覧可能

「ハーブ万葉集」大貫茂 誠文堂新光社

「古典基礎語辞典」大野晋 角川学芸出版

 

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